フィルムに日付を焼き付ける
なぜフィルムのデート機能(日付)にこだわるのか。ということ。「日付写真は思い出感が強く出て、作品にはなりづらい」という意見も承知の上で述べていく。
まず日付機能にこだわるようになった背景から。私の祖父が購入した物品に日付を書いておく人で、洗濯機から時計からなんでも購入年日を記載していた。幼少期からその光景を見てきたからかもしれない。
また別の祖父が認知症を患い、写真を見せてもいつの事だったか思い出せなくなったこと。写真に日付が入っていれば、何となくだが思い出せるようになったこと。
そして現在高齢者介護施設に務めているのだが、施設利用者の家族が写真の入ったアルバムを持ってくる。その中には元気だった頃の写真が自ずと入っており、一目見ただけで、何年前の写真かわかること。日付が入っている事で、何十年前はここに旅行に行ったんですねなどの会話にも繋がること。
最後に結婚式でカメラを使ったことがあるが、結婚記念日という本人達には特別な日に、プロが撮る高画質な写真よりも、日付が入った写真のほうが嬉しいとの事。また印刷して飾ってあると連絡を受けて、自分自身もとても幸せな気持ちになった事。以上4点が大まかな理由だ。
2018年現在、スマートフォンアプリ「huji」や、「kamon」、可愛く自撮りが撮れる「snow」で、簡単に日付焼き付け写真が撮れる。私もカメラを持ち歩いていない時にはお世話になっている。
「Huji」
「kamon」
「snow」
と各アプリごとに特徴はあるものの、オレンジの昔なつかしのフィルム感ある日付表記となっている。Instagramで友達などHujiの写真を多用している姿も見受けられ、日付写真の需要の多さを感じる。
確かに簡単に撮ることができ、すぐに確認できるアプリ機能は便利で、一見するとフィルムで撮ったのかアプリを使ったのか見分けがつかない人も多くいるだろう。(実際友達はわからないとの見解が多々あった)
しかしながら、フィルムで日付機能を付けて楽しんでいる人も、数は少ないが一定数いる。私もその一人で、焼き付けてあるネガを、プリントした写真を見て楽しんでいる。
アプリでも簡単に日付写真を撮れるようになった2018年現在、これだけはこだわりたいという意向を。それは独特の甘い描写、柔らかい定サイドライクなフィルム写真の中で、敢えてデジタル一眼レフにも負けないような綺麗な描写も撮れ、かつフィルムでしか撮れないような甘い描写も撮れる写真を撮っていく。その中に、デジタルでは再現不能な日付を焼き付けた写真を楽しんでいきたい。
またアプリではオレンジが主流だが、赤や黄色など、デート機能にも様々な色や文字の形、焼き付ける場所がある。デジタルやアプリでは再現不能な所も楽しみの一つでもある。
X-700 NMD35-70 F3.5 macro1.4-1.7
ISO感度は200。ミノルタがライカと提携していた時期に製造されたレンズでの1枚。バリオエルマー35-70F3.5の血を引くと呼ばれている佳作ズームレンズ。日付を1年勘違いしてしまったが、それもまた味となった。コントラスト高めのバキバキにピントがあった1枚。
また撮ったあとに確認もできないという、フィルムでは当たり前の工程も楽しみの一つ。思い出をカメラに、ネガに焼き付けていき、現像された写真を見て一気に感傷に浸る。この瞬間がたまらない。この瞬間を楽しみにしているフィルムユーザーも多いのではないか。そう感じる今日この頃。